当時、若者の街といえば新宿。
当然ロック喫茶やライブハウスも新宿に集中してた。
もっとも、当時は"ライブハウス"なんて呼ばずに、
ゴーゴー喫茶なんて今にして思えば陳腐な呼ばれ方をしていたけど…。
何はともあれ初回である今回は、
あの伝説のロック喫茶「ライトハウス」を紹介しちゃおう。
ライトハウス
新宿コマ劇場手前を右折して2〜3件目の地下1階、そこにロック喫茶の老舗「ライトハウス」はあった。すぐ下の階には、かの有名なゴーゴー喫茶「サンダーバード」があり、店内に入る前からいつもソコは音楽の洪水だった。
「ライトハウス」は2〜30畳くらいのL字型スペース。薄暗くてタバコの煙でむせかえってて、行くあてのないような怪しげな若者たちが常時3〜4人はタムロしてたっけ。
当時のロック喫茶っていうのは、ロックのレコードを大音響で聴かせてくれる喫茶店だった訳だけど、ここ「ライトハウス」はレコードをただかけるだけじゃなくって、時間帯によってガラスで囲われたブースから、DJがそのレコードやミュージシャンの紹介とかやってたってのが他と違ってたトコかな。進んだ店だったんだよね。
まぁ、新宿にはDJを抱えてた「ストーンズ」みたいな店が、他にも数件あるにはあったけど…。
そんなこともあって、友達と連れだって行ってもあまり大きな声で話すわけにもいかなくて、ただジッと俯いてロックミュージックを鑑賞(?)するという形態がここ「ライトハウス」じゃ出来上がってた。
だから何も知らない初めての客なんか来ると大変だったね。大音響に負けじと大声で話しはじめちゃうもんだから、もう常連の客は「来るぞ、来るぞ!」って。…と、ウェイターが音もなく無表情で現れて、客の後ろに回るとキツイ一撃をみまっちまうんだ。
これにはさすがのおいらもビックリしたね。新聞紙かなんか丸めてやんだけど、それにしたって客に暴力を奮うなんて見た事も聞いた事もないしさ、ホント。でも現においら、この目で何度も目撃しちゃった。ハハッ
この紙棒攻撃は、不覚にも睡魔に負けてウトウトしてる時にも襲ってくっけど、おいらは夜強い方だったんで残念ながら(?)その経験はないな。ところが、店内に入って右側のボックスをいつも陣取ってた連中には、なぜかこの攻撃がなかった。ボーダーな人間が集まる場所だってのに、この当時から常連客と飛び込み客との上下関係のようなモノがあったんだから悲しいよな。
店内でかかってたレコードは、ブリティッシュ系のロックが多かったなー。まぁ当時のアメリカンロックで名が売れてたのはグランドファンクやヴァニラファッジ、ラスカルズにクイックシルバー(カーっ懐かしい名前! 知ってる?)くらいなモンだったからしょうがないか。どっちかっていうと、その頃台頭して来てたアートロックなんかが多かったみたいだったね。
おいらなんか、あのヤードバーズの「ハートせつなく」をはじめてここで聴いてメチャ感激して、行くたんびにリクエストしたもんだよ。ヘヘッ
そうそう、リクエストカードがDJブースの前に用意してあって、その紙に記入してDJに渡すんだけど、DJが気に入らないといくら待ってもかけちゃくんない。なんか気分でやってたからしょうがないんだけど…。ただ長髪のウサン臭い兄ちゃんが、当時せっせとリクエストカード渡してたのは、今となって思うとけっこう笑えるシーンだったね。おっと、こりゃ失礼。
さてと、食べ物はここであまり食べたことがなかったから憶えてないけど、確かスパゲッティと焼きそばくらいはあったような…。そうそう、脂っこいスパゲッティだった。
飲み物は少ないながらも一般的なモノはとりあえず揃ってたっけ。けど、たいがい頼むのはコーヒーかコーラ。中にはコーラとカルピスを混ぜたピースコークなんて飲み物が当時存在してて、これは指でVサインを出せばそれだけでウェイターも理解しちゃうという代物。別にうまい飲み物じゃなかったんだけど、ただ知ってるヤツしか注文しないんで、常連客になったような気分でチョイと優越感に浸れる飲み物だった。
コーヒーは1杯250円くらいだったかなぁ…。世間じゃ150円ぐらいだったから高いコーヒーだった。だから何とか1杯のコーヒーで長い時間ねばろうって、ゆっくり舐めるようにして時間かけて飲んでさ。けどそれだけじゃ2時間ももたないから、店員に感づかれないようにミルクピッチャーの中味と水と砂糖をを混ぜ合わせて、腑抜けなアイスミルクにしてまた1時間…そうやって粘るのがその頃の常識だったっけ。
営業時間は24時間とかうたってた。厳密に言えば、明け方の5時だったか店内清掃のためとかいって入れ替えさせられたから、実際には22時間営業といったとこかな。しかし、毎朝掃除をしているわりにはあまり店内は綺麗じゃなかった。いや、はっきり言って汚かった。ゴキブリが壁をよく這ってたし…。
これは「ライトハウス」には直接関係ないんだけど、朝店を出されたあと黄色い朝日を浴びてまだ動き出す前の大都会をブラついてると、いろんな光景が目に飛び込んでくんだ。
通称「しょんべん横町」じゃ、でっかいネズミが残飯をあさってたぞ。あれじゃネコのが負けちゃうよな。だってへたなネコよりでかいんだぜ。
あと、夏場ガード下でヤクザ風の兄ちゃんが切り売りしていたスイカ、あれはうまかったー。買うのにチョイと恐かったけど渇ききった喉には格別だったな…。
…なんて干渉に浸りながら来月につづく。今度は何処行こうかな。
Copy by 青梅鴻輔
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